2008年3月7日金曜日

やるべきこと、入院

動揺は顔に出ていただろう。

1ヶ月の現場離脱、どうする?これから本番のシーズンというのに。
すでに予約は満杯。いったいどうする?だめか?いや、なんとかなる?ならない?
ゴチャゴチャだ、頭はパニックだ。

そんな顔だったんだろう。先生は一言私に言った。
「仕事はなに?」


説明した。こういうことをやっていると。

そうすると一言、苦笑いしながら、

「替わりがいないんだね」

この一言は、私にとってものすごく嬉しかった。

自分の動揺を、不安を見てくれたことに対して。共感してくれたことに対して。

「でもね・・」
「あなたは、今、身体を治さないといけない状態。

うちはベッドを空ける努力をします。だから、あなたも仕事の都合をつける努力をしてください」

この言葉は重かった。
こう言われたら、空けるしかない。そう思った。
病気を治そうと、一瞬にして覚悟が決まった。
なぜだかわからないけど、なんだか、そう思えた一言だった。

さらに
「1週間くらいで、悪化はないとは思うから、来週に入るようにしてください。それまでに仕事の都合をつけて。ただし、もし、何か変化や悪くなるようなことがあったら、すべてを投げて、すぐにきなさい。いいね?」

そう告げられた。


自分が病気であること、放ってはおけない状態までなっていること。
なんとなくこれまで自分で自分の状態をごまかしてきたこと。
全部が一瞬にして、気づかされたときだった。

おれは病気なんだ。


すぐに仕事場へ戻った。
周囲の関係者には、入院しなければならないこと。現時点では原因がわからないこと。時間がかかることを説明し仕事の整理を始めた。
週末には大きな企画がまっていたので、そのやりくりもあった。
ここまではなんとかやろう。
そう決意して、入院を延ばしてきたのだから、ちゃんとやりたかった。

現場はできる状態ではなかった。
裏方にまわることで手配をし、現場はすべてスタッフに託す。
いままで、自分がいたことで決断できなかった「任せる」ということを、否応なしにやらなくてはならない。
それなりの「覚悟」が必要だったけど、この身体ではお客様に迷惑をかけてしまう。信用することに賭ける。

そして、企画が始まった。

心配は無用だった。

見事にスタッフは、こなしてくれた。
完璧。マインド、パフォーマンスともに申し分なしだった。

このとき、私の状態を、厚意にしてくれているお客様に話していた。
お客様は私にこう言った。

「あなたのやるべきことは違うのよ、現場ではなく、やるべきことは組織を強くすること」

このとき、現場で活躍をしているスタッフを見ながら、この言葉をきいた。
これまで、ひとりで抱えてきたことを実感させられ、自分の役目とやるべきことを思い知らされた。

任せて、治療しよう。
いま、やるべきことは治療。そして私の役目をもう一度考えよう。
いいチャンスだ。

そう思った。

1月末、入院した。

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